はじめに
この記事は 2025 年 4 月 9 日に YouTube チャンネルにて配信した 【ジブリ・ゼルダ風 5e 世界設定】Obojima ツアーへ行く! の出演者用メモを公開用に加筆・修正したものです。
『Obojima: Tales from the Tall Grass』の掲載内容のうち、世界観の理解のためにプレイヤーが閲覧しても良いとされている範囲のみを扱った内容となっています。
★ この記事はサイズが大きいため3部に分けて構成されています。
- 全体概要と世界観
- 追加ルールとプレイヤー・オプション ※この記事です
- Obojima 観光ツアー
基本情報
- Obojima 公式サイト (PDF 版)
- Obojima 公式 YouTube チャンネル
- Obojima Kickstarter ページ
- D&D Beyond 販売ページ (Web 版)
★ 配信中に表示していたアニメーションおよび BGM は Alchemy (シーン進行型のオンラインセッションツール)のマーケットプレイスから購入したものです。Alchemy 上でのみ使用できます。
- Alchemy - Obojima: Tales From the Tall Grass Enhanced Edition
- Alchemy - Obojima: The Sound of the Wind (追加 BGM 集)
また、記事中の画像は D&D Beyond で購入した 『Obojima: Tales from the Tall Grass』 より一部引用しています。
プレイヤー・オプション
Obojima には以下のプレイヤー・オプションが提供されています。ここではその一部のみをご紹介します。
種族
Obojima には基本的に 4 つの種族が存在します。プレイヤーズ・ハンドブックに掲載されているその他の種族でプレイすることもできますが、その場合はこの島にいる理由を背景に含めることになるでしょう。製品にはそのためのランダム表も付属しています。
ヒューマン
Obojima で最も人口の多い種族です。ただし、この島に最初からいた種族ではなく、2000 年ほど前に船に乗ってやってきたという記録があるようです。
データはプレイヤーズ・ハンドブックに記載のものと同じです。
ダラ(Dara)
約 300 年ほど前に Obojima の森の中から現れた種族です。起源は不明ですが、飽くなき探究心を持ち、Obojima の木々に刻まれた魔法のシンボルから情報を引き出すことができる能力を持っています。また、護符を作成し、仲間にさまざまな恩恵を与えることができます。
亜種族として赤色(二つ目で小型)と青色(一つ目で中型)の 2 種類に分かれ、それぞれ追加で使用できる護符が異なります。
エルフ
Obojima では時々ヒューマンからエルフが生まれます。プレイヤーズ・ハンドブックに記載されているエルフとほとんど同じですが、Obojima のエルフは体にそれぞれ固有のあざを持っており、それは 精霊界(Spirit Realm) との強い結びつきを示すものとなっています。
通常の暗視に加えて、精霊界を覗き見る能力も持っています。また、身に宿したあざにより、追加の呪文を習得します。
ナクダマ(Nakudama)
Obojima の最古の住人と考えられています。カエルのような見た目の通り、ジャンプや水中移動が得意で、その長い舌を利用して物体やクリーチャーを引き寄せたり、逆に自分を移動させたりできます。
非常に社交的な種族で人が集まる場所には必ずその姿を現します。物語の収集や共有に情熱的ですが、それはその短い寿命(45 年ほど)と関係があるのかもしれません。
サブクラス
Obojima には神格が存在しないため、クレリックのサブクラスは提供されていません。また、パラディンは神ではなく、大いなる自然にその身を捧げ誓いを立てます。
ここでは各サブクラスの概要のみをご紹介します。
ファイター: The Spirit-Fused
- 精霊(Spirits) の力を宿したファイター。
- 特殊な効果のあるガジェットを獲得し使用できる。
モンク: Sheep Dragon Shepherd
- シープドラゴン(羊竜)の羊飼いモンク。
- シープドラゴンや羊飼いにちなんだ戦闘能力を発揮する。
バーバリアン: Path of the Belly Brewer
- お腹の中でポーションを醸造し、その力を引き出して戦うバーバリアン。
- ゴムのような体で攻撃を弾いたり、腕を伸ばして攻撃範囲を広げることができる。
バード: College of Masks
- マスクを付け替えることでさまざまな役割を演じるバード。
- 姿を一瞬で別人に変えたり、選択したマスクに応じた能力を発動したりする。
レンジャー: Corrupted Ranger
- 腐敗(Corruption) の影響を受け、呪われてしまったレンジャー。
- 徐々に体を蝕んでいく呪いの力を駆使して戦う。
ローグ: Waxwork Rogue
- 精霊界(Spirit Realm) から得た知識で炎と蝋を操るローグ。
- 蝋細工からさまざまな強化を得る。
パラディン: Oath of the River
- 移り変わる水とそこに棲む巨大な生き物に導きを見出し、身を捧げるパラディン。
- 水に関連した誓いの呪文や特徴を習得する。
ドルイド: Circle of the Petal
- 風と花びらに魔法を織り交ぜることができるドルイド。
- 花びらでできた獣の形の 精霊(Spirits) を使役する。
ウォーロック: The Lantern
- 精霊(Spirits) と契約して入手したランタンを手にしているウォーロック。
- ランタンの灯りは周囲を照らすだけではなく、占術呪文に等しい効果を及ぼす。
ウィザード: Origami Mage
- 折り紙に魔法を織り込むことができるウィザード。
- 作品に生命を吹き込んで使い魔として使役することもできる。
ソーサラー: Oni Bloodline
- 鬼との古代からの繋がりを持ったソーサラー。
- 魔力点の消費とともに鬼の特徴と外見を得る。
背景
背景には一部の 勢力(Factions) に 見習い(Apprentice) として所属することで得られるものが 4 つ、原初の時代(the First Age) の遺物の扱いに長けた メカニック(Mechanic) 、精霊(Spirits) と特別な絆を結んでいる スピリットキン(Spirit Kin) があります。
見習いについては、必ずしもその勢力の正式メンバーになるとは限らないようです。
取得した背景によって得られるものは、 2014 年度版のプレイヤーズ・ハンドブックに記載の他の背景と同様(技能習熟、道具習熟、言語、装備、特徴)です。
言語
Obojima の各種族独自の言葉は、それぞれが異なる起源を持つため互換性が乏しいものになっています。しかし長い時間をかけ、住人たちは共通語を開発し、それによって誰もがコミュニケーションを取れるようになりました。
しかし、例外的にその他の言語が使用される場面もあります。
- ナクダマ(Nakudama) は、その言語 ナクナク(Naku Naku) がこの島の物語を語るのにふさわしいと考えている。
- 精霊界(Spirit Realm) では トーラム語(Torum) が好まれる。物質界の住人もこの言語を学ぶことができるが、発声が非常に難しいとされる。
- 原初の時代(the First Age) の遺跡には当時の言語による書き言葉が残されているが、研究者を除いてほとんど知られていない。
装備
Obojima には 原初の時代(the First Age) から現代にかけてのさまざまな時代から用途を見出され、長く使用されている道具や装置が存在します。
鎧
軽装鎧、中装鎧、重装鎧が 1 種類ずつ追加されています。それぞれその素材や効果に Obojima らしいテイストが加味されています。
例: ダイバーズ・アーマー(Divers Armor)
非常に重く、高い【筋力】がないと移動速度が下がる。ウォーター・ブリージング呪文をかけられた時に効果時間が増加する。
盾とオプション・ルール
特殊効果のある盾も 1 種類追加されています。また、オプション・ルールとして盾を一時 HP 代わりに使用するルールが掲載されています。盾の材質ごとに HP は異なり、攻撃がヒットした際にリアクションを使用して盾にダメージを受けてもらうことができます。
盾の HP が 0 になった場合、余剰分のダメージは装備者が受け、盾の AC が加算されなくなります。盾は鎧職人に対価を支払うことで修理してもらえます。
武器
さまざまな特殊効果のある単純武器が 8 種類、軍用武器が 12 種類追加されています。
例: 脊椎剣(Vertebrae Sword)
フィッシュ・フォークが持つ剣。魚の骨と海のゴミで作られている。攻撃がヒットした時に剣をねじって追加ダメージを与えることができる。何回かそのように使用すると、武器として使用できなくなる。
例: 傘(Umbrella)
落下ダメージを受ける際に、リアクションを使用してダメージを軽減することができる。
冒険用装備
Obojima で日常的に使われている非魔法的な冒険用装備には、原初の時代(the First Age) からの技術やその再現、そして現代の新しい技術が使われています。5 種類の冒険用装備が追加されています。
例: グライダー(Glider)
空中を滑空し、水平移動をすることができる。アクションを用いて移動方向を変えることも可能。1 分以上の飛行は困難であり、都度【筋力】セーヴを要求され、失敗すると落下する。
魔法のアイテム
Obojima には多種多様な魔法のアイテムが存在し、精霊(Spirits) の商人やラーメン屋の主人、魔女や冒険者など、さまざまな人々が求めています。魔法のアイテムには火、水、風、土などの元素が込められたものや、原初の時代(the First Age) の遺物、精霊の長から与えられたものなど、それぞれ異なる不思議な起源や可能性が秘められています。
Obojima の住人は魔法のアイテムを日々の生活や仕事を楽にするために使用しています。そのようなありふれた魔法のアイテムやポーションは、農場やパン屋、製本屋など、さまざまな場所で使用されているのを見かけるでしょう。
例: カンセコ・バット(Canseco Bat)
自身に対する遠隔魔法攻撃がヒットしなかった場合、リアクションを使って別のクリーチャーへ打ち返すことができる。
例: インスタント・カメラ(Instaprint Camera)
このカメラで撮影した写真には、魔法の力を持つクリーチャーや物体がオーラをまとって写し出される。
呪文
魔法の位置付け
魔法は生活の一部として浸透していますが、ほとんどの住人は魔法を使う才能に恵まれておらず、魔女などの一部の住人が魔法サービスを提供しています。 ポーションの需要は高く、日常的に有効活用されており、島のあちらこちらで見られる自動販売機などで気軽に購入できるようです。
人に宿る命も魔法的な力として考えられており、”死”は再び魔法の神秘に触れられる機会を与えるものとして、祝福と悲しみの両方を持って迎えられます。埋葬方法は様々(土葬や海に沈めるなど)ですが、死者はまたこの島に戻ってくると考えられています。
Obojima には存在しない呪文
Obojima には 物質界 と 精霊界(Spirit Realm) の 2 つの次元界しか存在しないため、次元間移動に関連する呪文は削除されています。また、神による奇跡を起こしたり、生死を直接操作するような呪文も省かれています。
アストラル・プロジェクション、コミューン、デミプレイン、ディスインテグレイト、フィンガー・オヴ・デス、レジェンド・ローア、メイズ、プレイナー・アライ、プレイン・シフト、パワー・ワード・キル、スピーク・ウィズ・デッド、テレポート、テレポーテーション・サークル、タイム・ストップ、トランスポート・ヴァイア・プランツ、トゥルー・リザレクション、ウィッシュ
ただし、この世界ではこれらの呪文は絶対に使用できないというわけではありません。これらの呪文が存在し、意味をなす物語になることもあるでしょう。
新たに追加された呪文
Obojima には 初級〜7 レベルまでの 50 の呪文が新たに追加されています。武器+食料として使える大根ブレードを生やす呪文や、自転車や原付のような乗り物を召喚する呪文、島の水域を繋いでワープする呪文など様々なものがあります。
太古の遺物は使用するために電源が必要となりますが、電気を供給するための呪文も初級呪文として存在します。
例: ジョルト(Jolt)
初級呪文、力術。遠隔呪文攻撃で[電撃]ダメージを与える。機械に向けて放った場合は短時間電力を供給することができる。
例: オリガミ・バード・スウォーム(Origami Bird Swarm )
5 レベル、変性術。対象を追尾して攻撃する折り鶴の群れを召喚する。
特技
Obojima 独自の前提条件が設けられている特技がいくつか含まれています。特定の種族であることや、特定の 勢力(Factions) に 見習い(Apprentice) のメンバーであること、あるクエストをクリアすることなどが条件となっています。他にもポーションの醸造や島の探索が有利になるような特技など、合計 20 種類が追加されています。
例: ブーメランの使い手(Boomerang Expert)
ブーメランを習得し、この武器を用いて並外れた技を繰り出すことができる。ダメージ・ダイスが増加し、戻ってくるブーメランを自動的にキャッチすることができる。
技能
新たに 【知力】〈メカニクス(Mechanics)〉 と 【知力】〈サルベージ(Salvage)〉 が追加されています。
- 【知力】〈メカニクス(Mechanics)〉
- 機械を操作、作成、修理する際に使用。
- 【知力】〈サルベージ(Salvage)〉
- 機械やポーション作成に使える部品に関する知識を思い出したり、部品の分解・回収に使用。
状態
新たに 鎮静状態(Pacify) が追加されます。この状態のクリーチャーは、攻撃できず、敵に影響を与える呪文を唱えられず、他のクリーチャーにダメージを与えることもできません。
パシファイ・パーソン(Pacify Person)やパシファイ・モンスター(Pacify Monster)といった呪文や、同様の効果を持ったポーションによって付与されます。
ポーション醸造ルール
Obojima の住人は、もしかすると魔法よりもポーションに触れる機会の方が多いかもしれません。この世界には合計 180 種類のポーションが存在し、その全てをプレイヤーが作成できます。
ポーションのタイプとレアリティはそれぞれ 3 つずつに分けられています。
- タイプ → 戦闘(Combat)、ユーティリティ(Utility)、気まぐれ(Whimsy)
- レアリティ → コモン、アンコモン、レア(作成時の素材で決まる)
ポーションはタイプごとに 60 種類存在し、その材料もコモン 69 種、アンコモン 45 種類、レア 21 種類と多岐にわたります。すべてのポーションとその材料について、イラストが準備されており、オフラインセッションで使用できるカードデッキも販売されています。
また、ポーションの服用に関する追加ルールも記載されています。
- ポーションの効果は重複しないが、永続的な効果のあるものについては例外
- 1 日に複数のポーションを服用すると、病気になる可能性がある
- 1 日に 3 つ以上のポーションを服用すると、ポーション事故が起きる可能性がある(ランダム表付属)
ポーションの材料
材料は、植物、鉱物、生き物、機械部品、おもちゃ、食べ物などさまざまで、探索する地域によって見つかるものが異なります。材料にはポーションの種類に対応する 3 つの異なるパラメーター(戦闘、ユーティリティ、気まぐれ)が設定されており、その数値の組み合わせで完成するポーションが決まります。
材料回収については以下のようなルールがあります。
- 材料の回収は技能判定で行う
- 自然に存在する材料の場合は 【判断力】〈生存〉
- 機械から部品を抜き取る場合は 【知力】サルベージ(Salvage) (新技能)
- 材料辞典を持っている場合は、持っている本に書かれた地域での回収ロールが有利となる(島の 7 つのエリアの魔女集会が 1 冊ずつ持っているらしい)
- 秘術検出セット(Arcane Detection Kit) を使って、休憩時間中に手持ちのアイテムがポーションの材料となりうるかどうか確認することができる
ポーション作成(調合)
ポーションの調合を行うには以下の条件があります。
- 錬金術用品 を所持していて、習熟がある
- ムク(Muk) と呼ばれるポーションのベースとなる混合物を作成するためのゴールドを支払う
実際の調合の流れは以下の通りです。
- 任意またはレシピ通りの 3 つの材料を選ぶ
- 材料の「戦闘」「ユーティリティ」「気まぐれ」パラメーターを計算
- パラメータごとに全ての材料の数値を加算
- 一番数値が高かったパラメータの数値を取得(同値の場合は好きな方を選ぶ)
- 計算結果とポーション一覧表から生成されるポーションを決定
(例)材料が以下の表の通りだった場合、各材料のパラメータを加算すると、戦闘 21(7+6+8)、ユーティリティ 19(6+9+4)、気まぐれ 4(1+1+2)なので、生成されるポーションは戦闘ポーションとなります。戦闘ポーション一覧表から 21 番目のポーションを取得します。
成長の証(Hero’s Journey Boon)
インスピレーションと同様に、DM の判断によってキャラクターに与えられるボーナス特技のシステムが紹介されています。行動やロールプレイを通じて、物語の中でそのキャラクターの成長や深掘りをすることができたときに与えられます。
このシステムは、キャラクターの個性が時間とともにどのように成長していくかという点にフォーカスさせます。また、 DM とプレイヤーが協力して素晴らしいストーリーを創造するための推進力となることが期待されます。
取得可能なボーナスは 10 種類です。キャラメイクの段階でプレイヤーに考えてもらう設定の質問表や、具体的なキャラクターの成長の例、何を成長とみなすかといった記載があります。
例: 自己犠牲(Selfless)
周囲の人々を自分より優先し、時には自身の幸福を犠牲にすることもある人物。自分のターンを仲間に譲ることができる。
例: 利己主義(Selfishness)
正しい行動ができたにもかかわらず、他人よりも自分の利益を優先する道を選んだ人物。ダメージを受けた際に、仲間の HP を犠牲にして自身の HP を回復できる。
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